フィギュアことはじめ

フィギュアのおにいさんの技術アーカイブ

ボックスの練習方法について①(★☆☆-2)

はじめて本ブログをお読みになる方は、はじめに以下をご覧ください。

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練習でボックスばっかりさせられてつまんない。そもそもボックスって何で大事なの?とっとと試合のコースの練習しようよ。

ボックス練習の重要性

はい、こんな意見よく聞きます。そうですね、確かにボックスは単調になりがちで、工夫しないとすぐ飽きます。でも、このハナシを聞いたら、もう少し興味が出てくるかもしれませんよ。

ボックス練習によるメリットは山ほどあります。

メリット①「必ず試合に出る」

これは皆さまご想像の通りだと思います。ボックスがない試合は基本的にありません。つまり、練習がそのまま試合に直結する、ということです。

上は、2022年の全日本フィギュアのコースです。ボックスが2つありますね。

強豪校では、コース攻略でボックスにはあまり時間をかけません。ボックスは練習し尽くしているので、実際のコースに合わせて、例えば入口、出口、缶の位置等を勘案して、「いつもの」走り方を少し変更するだけですね。残りの時間は、ボックス以外の攻略に時間をつぎ込みます。

ですから、コースが発表されてから「ボックスってどうやって走るんだろう・・・」だと、そもそも出遅れてしまうんです。

そうならないために、先にボックスマスターになっておきましょう。

メリット②「フィギュアに必要な技術の8割はボックスで得られる」

これ、大げさではありません。ガチです。

フィギュアで必要な技術の引き出しには様々ありますね。まだ分からなくても問題ありませんが、「エグり」、「リア確」、「三輪確」、「幅寄せ」、「中当て」、「流し」、「末切り(今ぺナ取られるけど)」、エース級であっても「手数を増やさない修正」など。これらすべて、ボックスで習得可能です。

逆にコース独特の技術となるのは、スラロームと狭路くらいでしょうか。本当はスラロームもボックスの応用なんですが、脱線しすぎるのでやめておきましょう。

それら以外はほぼボックスでできるといっても過言ではないでしょう。

つまりですよ。コースを引く敷地がなくても、ボックスさえ書ければ試合までは十分に備えられるということです。

でもこれを意識している大学は少ないのではないでしょうか。

私がコーチをしていた大学は、そこそこ強豪校でしたが、それでもボックスを軽視してすぐコースをやりたがる傾向にありました。しかし、ボックスで基礎的な技術を得ておかないと、いくらコースを走ってもすぐ伸びなくなるんですね。

一見遠回りのようですが、ボックスは本当に大事です。

メリット③「敷地が限られていてもできる」

練習場所の問題は皆さん切実だと思います。大学によっては、サーキットを借りてフィギュアを練習しているところもあると聞きます。敷地が潤沢にある日吉の某大学を除けば、ほぼ全員共通の課題ですね。

フルコースが引ける場所、となるとかなり限られますが、ボックスが1つや2つ書ける場所、となればハードルはかなり下がります。

OBの伝手で倉庫の駐車場を借りたり、ド田舎の公共公園(宮●瀬とか)に交渉しにいくと、意外とOKを頂けたりします。

また、部室ガレージ前でもボックス一つならどうにかなるかもしれません。(母校はそれすら無理でした・・)話を聞く限り、ボックス少しなら書ける、という大学は多そうですね。

私のイメージでは、コース発表されるまではボックスのみの練習で技術的には全く問題ないと思っています。上で述べたとおり、ボックス練習でどれだけ貯金できたかが、コース攻略やコースでの伸びに直結します。

少し蛇足ですが、もし場所で困っている大学がいるのであれば、合同練習を行うのは一つの手だと思います。一校の規模でサーキットや敷地を借り切ると、どうしても高額かつ使いきれない敷地になると思いますから、同じ悩みを持つ大学が共同で練習すれば負担が減るかと思います。

そういうノウハウもたくさん持っていますので、もし困りごとがあったら、以下からお気軽にご相談ください。

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メリット④「コースにはボックスが隠れている・・!」

これはすごく大事なことなんですが、初心者向けではなくなってしまうので、ここでは割愛します。触りだけ述べておくと、上掲のコース図の中で、ボックス2つ以外にもコース中にボックスが隠れています(S&Gボックスじゃないですよ)。一見するとボックスでなくても、少し見方を変えると実はボックス、というのは結構多いです。

なぜかというと、コース作成者はコースを作成しながら通れるか否かを判断していく訳ですが、その際ボックスを基準にすると分かりやすいんですね。なので、どうしても分かりにくい部分は、わざとボックスの形に近づけたくなるものなんです。ここをボックスと考えると通れるな・・・という風に。

まあそのうちお話しましょう。中級以上の方はぜひ考えてみてくださいね。

■ボックスのメリットまとめ■
①必ず試合に出る
②フィギュアに必要な技術の8割はボックスで得られる
③敷地が限られていてもできる
④コース攻略時にも役立つ

ボックス練習だけでどのレベルまでいけるの?

ボックスだけでどのくらいまで上手くなれるものかなあ・・・。不安。

はい、大会入賞くらいまではほぼボックスだけで狙えます。断言します。優勝はさすがに多分無理だと思います。まあ勝負は運もありますので、不可能とは言い切れませんが。

だいたいレベル的には以下のようなイメージを持ってください。ボックス一つ一つについてはまた解説記事を作るので、こちらも触りだけ。この対面ボックスを題材にすると、

 ・初心者:1分以内くらいを目標に

 ・中級者:平均30秒、最速20秒くらいを目標に

 ・上級者:平均20秒(悪くても25秒くらい)を目標に

以上を目標にすると良いでしょう。上級者の目標をクリアできれば、入賞はできるレベルにあると思います。

これは単にタイムが速いから可能性がある、ということではありません。上級者のところに「悪くても」と入っていますね。ここ、とても大切です。悪い時に悪いなりにまとめる、というのは簡単そうで実は結構難しいのです。そのためにはイロイロと考えなければいけないことがあり、理解できているのであれば入賞レベルの腕と知識は持っていると判断できます。単に回数を重ねただけでは、この目標はクリアできないと思います。頭を使って練習する必要があります。

ちなみに、優勝するような方はどんなレベルかというと、ラインを毎回変えながらワーストで20秒くらい、というところでしょうか。良いです、伝わらなくて。

この記事は初心者向けですから、具体的にああしろこうしろ言いたいのではなくて、要はボックスでそのレベルまで到達できるんだぞ、ということを理解していただければ結構です。敷地がないから無理!と思わないでください。

もちろん、良いタイムを出すためにはハンドリングもとても大切ですよ。その点は忘れないでくださいね。ハンドリングについては以下記事でまとめていますので参考になさってください。

figure-brothers.hateblo.jp

 

次稿では、具体的な練習方法について書いていきますね。