試合用コースのウラバナシ
ご存知の方も多いと思いますが私は最近よくコースを作成させていただいております。
試合のコースに関して、思想や狙いなどが語られることも多くはないと思いますので、コース作成者が何を考えているのか少し語ってみたいと思います。
コース作成の意図を知ることで、試合に向けた練習だけでなく、コース発表前の練習コース作成や練習内容に活かせる部分もあると思いますので、ご参考にしていただければ幸いです。
なお、これはあくまで私の私見であり、他のコース作成者に当てはまるものではないことをご承知おきください。
コースの要件
コースの要件として、まず競技規則書に則った形が求められます。主な要件は以下のとおりです。
・ボックスは1か所以上3か所以下
・前進か後進のスラロームが1か所以上3か所以下
・ボックスの大きさは5.5m~6.5m、確輪サイズは0.35~0.45m×(乗用:1.75~1.9m、貨物:1.8~2.0m)
・ボックスの出入口は1.8~2.0m(←ほぼ形骸化)
・スラロームの幅は3.5~4.0m、枝の間隔は3.5~4.0m、枝の長さは1.3~1.7m、枝は10本以内
ちなみに、車両規定は以下です。
規則書を読んでみよう!学生自動車連盟のHPからダウンロードできるゾ
コース作成で重視する点
私はコースを作成する上で、以下の4要件を重視しています。
② 実力が反映されやすいこと
③ 試合コースの練習を通じてフィギュアの能力が総合的に向上すること
④ 最低1つはユニークな要素を作ること
①完走率
目標完走率は8~9割と考えています。
②実力反映
その前提の上、実力が反映されるコースを①を崩さず作るためには、「通れるには通れる、しかしタイムを出そうとすると難易度が一気に上がる」というコースを作る必要があります。言葉を換えれば、簡単に通れるラインは正解ではない可能性がある、ということです。理想的には、練習を積む度にラインがアップデートされていく、スルメイカ的コースを作るようにしています。
③試合コースによる総合練習
要するに試合のコースを走り込もうってことだな!
④ユニークな要素
フィギュアは90年近い歴史があると聞いています。この歴史の中では、過去様々なコースが出題されてきました。今はほぼ見ない「サークル」や「鋭角」などもありました。また、かつてはノンパワステ、MT車でのフィギュアが当たり前でした。(私もノンパワステの時代は知りません。MTはありました。)
その一方、最近のコースは比較的固定化しており、ボックスを中心として、狭路とスラローム、あとはコースに合わせた何か、というのが定番になっています。
それはそれで一定の合理性があると思っているのですが、一方でそれだけを繰り返す競技でよいとは思っていません。ですから、何かしら一つは「おっ?」と思うような要素を含むようにしています。最近だと2024年度全関Fではボックス内浮缶、狭路内缶を出題しました。2024年度全日F、2023年度全日Fは少しトリッキーな方向転換がありました。2025年度も何かしら面白い要素が入ってきます。
ただ、あくまでも全関Fは全日F前哨戦でもありますので、④が目的になってはいけないと思います。トリッキーなだけではなく、しっかり練習になる、という点が重要です。そのメッセージを是非受け取っていただけると幸いです。
ということで、コース作成のポリシーをお話ししました。