フィギュアでの「車速」の考え方
ボックスの通り方は理解しているつもりなんですけど、どーもタイムが上がりません!ぺナも減りません!助けてください。
スピードを単に上げるだけだと、リスクが増えてぺナ祭り!
初心者→中級者へのステップアップの際、発生しがちな悩みですね。そもそもフィギュアにおける「車速」は、単にスピードを上げればよい、ということではありません。これは上級者になってからも付いて回りますが、単にスピードを上げただけでは、ペナルティやエグりミス等のリスクが増えるだけです。車速を上げようとしてぺナが爆増している方は、まさにこのパターンに当たるケースが多いと思います。
中級者と上級者でも異なる
車速を上げる場合、中級者と上級者ではケアする場所が異なります。中級者の場合は、今日お話しする「車速の山」(F兄が勝手に命名)を意識するだけで、だいぶ改善するでしょう。一方、上級者の場合には、「車速の山」を理解した上で、更に走行ラインや操作方法で車速を上げるための工夫をする必要があります。要するに、ただスピードを上げるのではなく、上げられるように別の場所でタネマキをしておく必要があるということですね。これは今後上級者のカテゴリーでお話します。
「車速の山」とは
先にお伝えしておきます。これができるようになれば、ボックスが10-15秒くらい速くなります。少し分かり難いかもしれませんが、ゆっくりで良いので一つ一つ確実に理解しましょう。
「車速の山」についてご説明します。上のグラフをご覧ください。左が中級者によくある加減速、右が改善後の加減速です。
異なる点が3点ありますね。解説していきます。
①&②について
①はホイールスピンを防ぐための我慢です。ホイールスピンは同乗減点になります。車速を上げてタイムを上げるために同乗減点を取られたら意味がないですから、発進時は気を使い、少し押さえます。特に全切りからの発進となる立て直し時は要注意です。
②は車速の平地を作らない、ということです。これ、無意識に平地を作ってしまっている方がとても多いです。操作の感覚としては、ジムカーナ中のペダルの使い方に近いですね。ジムカーナではブレーキからアクセル、アクセルからブレーキに踏み変える時、スパッと動かすと思いますが、まさにその動きをしてください。そうすると平地は勝手に無くなります。最初は今までよりも突っ込む感覚があって怖いと思いますが、そこは慣れです。
③について
③が最も重要でかつ難しいです。多くの方が目標停止地点に対して一定ブレーキで突っ込もうとします。そうすると、少しのタイミングの誤りで、「突っ込みすぎ」か、または「甘いブレーキ」になります。当然ですが、「突っ込め」ばペナルティ、甘いブレーキだとタイムロスに繋がります。そこで、目標停止位置の少し手前(最初は50cmくらいで良いと思います)に③の仮想停止位置を設定しほぼ停止、③の位置からはブレーキを緩めて少し惰性気味に進みます。これは、操作のイメージとしては、街中の運転で停止直前に「ガクッ」となるのを防ぐためにブレーキを少し緩める動きと全く同じです。
黄色線だらけじゃないか!!
ここめちゃ大事なんです。もう一息。
何のために③をするか、というと、一つは目標位置で正確に停止するためのマージンを作るということ、もう一つは③以降の極低速域で、ハンドルを少しでも全切りから戻しておくためです。マージンがあれば停止位置を10cm単位で前後させることも簡単にできますが、③がないブレーキングだとかなり難易度が上がりますし、ワンミスで接等のペナルティのリスクがあります。また、③以降の極低速であれば、ハンドルを切っても精度が落ちること、いわゆる「流し」になることを防げますから、その間にハンドルを切ることで停止時間を短縮できます。
ちょうどよい教材があるので、こちらの動画で見てみましょう。(毎度毎度画質が悪くて申し訳ないのですが、顔分からなくてラクなのです。)
これは過去まさに上の「車速の山」の練習をしている動画です。出来ていたり、出来ていなかったりでちょうど良いので取り上げます。
最初から3手目までは①②③とも良い感じです。その後は②は良いですが、①と③が今一つです。
えっ、違い分からんぞ。
①に関しては、後半につれてホイールスピンが多くなっています。どうしてもタイムを意識すると、発進が雑になりがちですが、この動画のようなホイールスピンだと同乗減点ギリギリでしょう。雨なのでかなり滑りやすい状態ですが、取られてもおかしくありません。
③に関しては、トップスピードがしっかり出ており、ブレーキも強くしている前提で、停止時に車体が揺れていないかで見分けられます。停止時に「ガクッ」となる=③のブレーキ抜きができていないということです。1~3手目までは、停止時にほとんど車体が揺れていませんが、その後は「ガクッ」と揺れていますね。これは③ができていない証拠になります。そうすると、その停止時は停止時間が長くなりますし、ぺナリスクも大きくなります。
③に関して、もう少し上達するとこうなります。今度は更に荷台が動きませんね。このレベルまで達すれば、実戦でも使えるでしょう。めっちゃホイルスピンしてますし線に近いですね、その点は良くないです。あくまで③の例ということで・・
①加速し始めは慎重に。ホイルスピンしないように。
②速度の平地を作らない
③停止直前にブレーキを抜き、惰性で停止位置を調整
→停止位置の精度UP&ハンドルを戻して停止時間短縮
「速度の山」の練習方法
まずは、エグりではなく、前後運動で練習しましょう。前後に目標となる線を引き、前後を繰り返しながら、①②③を意識してください。特に③は難しいですから、入念にやりましょう。毎度の練習初めの5分くらいでパッと練習するクセを付けておくとよいですね。
前後運動でできるようになったら、ボックスのエグりで練習してみましょう。これができるようになると、ボックスのタイムが10秒-15秒くらいは速くなると思います。脱中級者へ、一歩前進ですね。
何を隠そう、私も知らない方の技量をぱっと見て判断するときの要素の一つに、この③の動きがあります。特に貨物では、停止時に「スッ」と滑らかに止まっている方を見ると、この人は強いな、とすぐ分かります。貨物の速い方では本当に例外を見たことがありません。小四は、ガクガクした動きでも速い、ということがあります。ただ、目を見張るような速さの方は、やはりスムーズですね。たどり着く所は多分同じなのだろうと思います。
ぜひ、そんな目線で観察してみてくださいね。
今回のテーマは分かりづらいですし、パッとやってできるものでもありません。ただし、今後に繋がるとても大切な内容ですから、是非何度も読んでチャレンジしてみてください。